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単純な寂しさを紛らわすため、突然メールを寄越した男に今から朝まで付き合うほど私は堕ちない、男にじゃなくて、私の心の脆い場所にすっぽり空いた巨大な穴にいちばん大事にしているものをうっかりで落とさないことだ。たとえ男のさみしさが複雑だったとしても関係ない、都合よく召喚できるモンスターカードだと思われていたって腹が立つこともない。私は単純に寂しくなった気持ちを持ち帰ってベッドで抱えたままぐっすり眠れるようになった。大人だから。

明日も明後日もこの先ずっと、複雑に好きな人と会えば夜は単純に寂しくなって、そのたびに人生のエクストラステージとかミニゲームをひたすらやり込んで無駄なトロフィーをとることに専念する。本編のイージーモードさえクリアできると期待しない努力をするしかない。