ルサンチマンの墓場

旅行は楽しい?友達と趣味を共有するのは楽しい?疑問形で書いたけど、まあ楽しいんだろうなあ。楽しそうだなあ。いいなあ、いいなあ、いいなあ…


大学、もっと通いたかった。年下の同級生ばかりだったけど友達ができたりもした。教授たちは本当に優秀な人ばかりで毎週講義が楽しみだった。浪人した甲斐があった。でも座っていると眠気が襲ってきてどれだけ内容が面白くても60%くらいしか聞けなくて、カフェイン剤を飲むと吐くので眠る前にボイスレコーダーで録音してみたけど聞き返す時間がなかった。毎月の病院代や食費や画材費がとんでもないことになるので、誰にも言いたくないバイトでなんとかしていた。全力で働いて、勉強して課題の制作に遅くまで居残ってから家へ帰っても作業に追われていたら、頭が真っ白になって、気がついたら退学届けを期限ギリギリに提出していた。あらゆる余裕が1ミクロンも残さず削られて社会から捨てられた。限界だった。

寝ていたら21歳の春が来た。この春にここ数年の間にできた友達がみんな就職した。学部卒も院卒も不思議なことに、一斉に会社員となってたくさんお祝いし、私は職を失っていた。友達というのもツイッターで知り合ったとか、その人に紹介されてという感じで、学校も出身地も趣味も性別もちぐはぐに集まったが、あなたと仲良くしたいという姿勢をみせれば人は私に優しくしてくれた。私に優しい人間と話すのはなんだって楽しい。今も多くの人が私に優しくしてくれることがほぼ唯一の救いだ。

でも、みんな大学を卒業してるしすごい、卒業旅行にいったなんとかって国の話をしたりする。なんか…すごいなあ。大学を卒業できなかったことで私の自尊心はズタズタになった。大卒の人間なんて別の生き物のように思えて直視できない。鬱病がよくならなくて夜に起きては自傷ばかりしてきたから自分のパスポートも持っていない。

しかもダブらずに就職して、この夏に賞与で旅行でも行くみたい。賞与…。私には無いから、一緒にタイすら行けないよ。健常に生きられるサブカルの人って旅行好きだな。なんで?


旅行は楽しい?友達と趣味を共有するのは楽しい?


私は暗い部屋で明け方まで絵を描くのが一番好き。鬱病になる7年前よりも前からずっとそう。友達と趣味を共有できるのは年間で5時間くらいだけど悪くないと思う。みんなと共有したいから同じ音楽をいろいろ聞いてみたし、好きなのも見つかった、けど3年後も聞いてるかは分からない。みんなは居心地の良い人生に乗っかってちゃんとした人になって、ちゃんとした人はちゃんとした人と仲良くするのが心地いい。みんなが離れていけば私はまた暗い部屋で明け方まで絵を描くだけだ、旅行は病気がよくなったら行ってみたい。